環境エンリッチメントの現場から〜ウォンバット・行動観察編

五月山動物園で取り組んでいる「環境エンリッチメント」について、ウォンバットの事例をご紹介します。

#環境のこと

#ウォンバット

今回はフィーダー導入に伴い実施している「行動観察」について説明します。 


まず最初に今回の取り組みについておさらいしましょう。
今回の取り組みは「動物福祉」向上のために行っております。
フィーダーは「動物福祉」向上のためのアプローチの1つである「環境エンリッチメント」と呼ばれる取り組みに分類されます。
「環境エンリッチメント」とは5つの種類に分けられ、導入した木箱は「採食」「認知」「感覚」の3つの種類が重なり合っています。

こちらについては、また後日ブログに詳しく載せようと思います。

【行動観察を行う理由】

では、行動観察の説明に移ります。
まず行動観察を行う理由としては、「動物福祉」のとても大切な考え方、

『主観ではなく科学的・論理的に評価しなければいけない』に基づいております。
動物たちが本来どのような行動をどれくらいしているのか(=行動のレパートリー)を科学的に知るということです。
そのレパートリーを把握することで、単調になりがちな飼育環境の中でも、行動の幅を広げていけるような工夫を行うことができるようになります。

環境エンリッチメントの現場から〜ウォンバット・行動観察編

【行動観察の方法】

次に、行動観察の実施方法について説明します。
今回は「瞬間サンプリング法」という観察方法を用いて観察を行っております。

10分間の観察をできる日は毎日行い、30秒毎にウォンバットの行動を記録していきます。
行動観察自体は約1ヶ月ほど続け、行動観察の結果を元に木箱にどのような細工をするか話し合っていく予定です。

気温・天気・音等、環境によっても動物の行動は変化します。
主観での、「雨だから今日は出ないな。」ではなく、行動観察を行うことで「雨の日だけど、今日は出ていたな。雨の日に出る時の条件はなんだろう?」と、科学的・論理的に評価することができるようになります。

【まとめ】

行動観察の結果については、また報告させていただきます。
皆様もぜひ、これを機に他の動物園・水族館での取り組みについても調べてみてください。

環境エンリッチメントの現場から〜ウォンバット・行動観察編

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