バズバンダリートレーニングの現場から〜ヒョウモンガメの体重測定は自分で乗る時代!?

五月山動物園で取り組んでいる「バズバンダリートレーニング」についてご紹介します。

#共生のこと

#ヒョウモンガメ

「今日は測定の日だよ〜」

体重計を目の前にすると、ノソノソと自ら乗ってくれるリクガメ、、、

そんな姿を想像できますか?

今回は、私たちが取り組んでいるヒョウモンガメのハズバンダリートレーニングのひとつ、ターゲット誘導による体重測定トレーニングについてご紹介します。

バズバンダリートレーニングの現場から〜ヒョウモンガメの体重測定は自分で乗る時代!?


【ハズバンダリートレーニングとは?】

ハズバンダリートレーニングとは、動物たちが日常の健康管理や医療行為に“自ら協力してくれる”ことを目指すトレーニングです。

動物園や水族館では、ライオンが口を開けたり、イルカが採血に応じたり…そんな場面でも使われています。

実はこれ、爬虫類にも応用できるんです!

バズバンダリートレーニングの現場から〜ヒョウモンガメの体重測定は自分で乗る時代!?

【なぜリクガメにトレーニングを?】

「カメにトレーニング?」と驚かれることもありますが、実は多くのメリットがあります。

保定によるストレスを減らすため

無理に持ち上げて体重を測ると、リクガメにとっては大きなストレスになります。

スタッフとの“社会的なつながり”を作るため

餌やトレーニングを通じてスタッフとの関係を築くことで、日常の観察もしやすくなり、異常にも気づきやすくなります。

バズバンダリートレーニングの現場から〜ヒョウモンガメの体重測定は自分で乗る時代!?

【実際のトレーニング方法:ターゲット誘導を活用】

▶ ステップ1:ターゲットに慣れる

まずは「ターゲット(目印となる棒やボール)」を見せ、ターゲットに触れるとご褒美(好物の野菜など)がもらえることを学んでもらいます。

▶ ステップ2:ターゲットを追いかけるよう誘導

次に、少し距離を取ってターゲットを提示し、自発的に追いかけて移動する行動を強化していきます。

「ついていけば、いいことがある」とカメが学習していく段階です。

▶ ステップ3:体重計の上で成功体験

体重計の上にターゲットを提示し、そこに誘導します。

上に乗ることができたらたっぷり褒めて(もちろんご褒美も!)、行動を定着させていきます。

バズバンダリートレーニングの現場から〜ヒョウモンガメの体重測定は自分で乗る時代!?

【今後の展望】

現在は、五月山動物園で飼育しているリクガメ、2頭ともがスムーズにターゲットを追い、体重計に乗ることができるようになっています。

今後は体重測定以外にも、移動訓練など、さらに応用していける可能性を感じています。

バズバンダリートレーニングの現場から〜ヒョウモンガメの体重測定は自分で乗る時代!?

【まとめ】

リクガメはのんびり屋さんに見えますが、しっかり学び、スタッフとの関係性も築いてくれます。

体重計に“自分から乗る”トレーニングは、動物のストレスを減らし、福祉を高めるための一歩。

「ただ測る」ではなく、「協力してもらう」ことは、彼らの健康だけでなく、心の健康=ウェルフェアにもつながっています。

そして何より、「やってみたらカメって賢い!」という発見があるかもしれません。

私たちの取り組みが、動物とのよりよい関係づくりのヒントになれば嬉しいです。

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